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善光寺びんずる回し
開催日時:平成31年1月6日(日)
開催時間:午後7時
開催場所:善光寺
参考HP:
信州善光寺公式ホームページ
http://www.zenkoji.jp/
 
<びんずる回し>
すっかり暗くなった午後7時、本堂に集まった大勢の見物人が見守るなか法要が始まる。静まり返った本堂に響く読経の音…。午後7時の気温は、氷点下マイナス2度。それにもかかわらず、次第に周囲には不思議な熱気が帯びてくるのがわかる。法要が終わると、案内役の方から注意事項の説明が始まった。「びんずるさま」は、台座ごと3回妻戸台の周囲を廻ること、大勢の皆さんに台座を引くロープを持ってもらうために、ひとり一回だけにしてほしいこと、などなど。見物人の多くは常連らしく、説明ひとつひとつを頷くだけ。すでに勝負は始まっている…、という雰囲気であった。
「どん、どん、どん…」。やがて、妻戸台にある太鼓の音を合図に「びんずるさま」が動き始めた。どうやら、太鼓の音に合わせて時計回りに妻戸台を廻るようだ。台座には信徒の方が、白い晒しに包まれた「びんずるさま」を抱えて座り、左右に揺さぶる。引き綱を手にしようと、一度でいいから「びんずるさま」に触れようと、先ほどまで静寂さを保っていた本堂は騒然となる。写真を撮影しようと構えていた管理人は、台座上の「びんずるさま」と向き合う形で押し出され、1周の約4分の3あたりを過ぎた頃、ようやく流れから解放されるほどだった。その後、妻戸台を2回(新聞報道では5回とあったが…)廻って、ようやく台座は元の場所にストップ。「びんずるさま」に触れようと近寄る人々で、像の周囲は再び賑わいを取り戻す。
一方、「ぼんずる像」の引きまわしに関わった常連さんたちは、次の準備で俄然忙しくなる。それは、内陣で配られる記念の「福杓子」を手にするため並ばなければいけないからだった。習わしでは、ここで受け取った杓子で「びんずるさま」を撫で、自身の患部に当てるとよい、とされている。たくさん用意されているようなので慌てることはないが、なにしろ大勢の人々が「福杓子」を求めて押しかけるため、行列の末端に並べば寒いところを長く待たされることになるのだ。「福杓子」は、内陣の「弥勒菩薩像」あたり(本堂向かって左側)で行われるので要チェック。お心遣いもお忘れなく。

<参考資料>
「びんずるさま」は、釈迦の弟子であり、正式には「賓頭廬尊者」と記す。熱心に修業を行うが、ただ酒を嗜む癖があり、釈迦から酒を止めるよう約束させられる。しかし、生来酒を好む尊者はこの約束を破り飲んでしまったため、これを知った釈迦から追い出されてしまう。悲しむ尊者は、ひとりで修行に励むことに…。長い年月の末、釈迦は「本堂外陣なら」という条件で傍にいることを許す。「賓頭廬尊者」が外陣に安置されているのはこのような経緯(いきさつ)による。
(平成13年1月6日訪問)


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